大口れんこん伝統守り強い産地へ(2025年3月3週号)
「県内外、どこで売ってもおいしいと言ってもらえます」と話すのは、レンコン「エノモト」や「だるま」を5ヘクタール作付けする長岡市大口の髙橋秀信さん(70)。「大口れんこん生産組合」(構成員60人、栽培面積120ヘクタール)の組合長を務め「大口れんこん」の販路拡大と産地の発展のため、力を注いでいる。


大口れんこんは、地理的表示(GI)保護制度にも登録されているブランドで、シャキシャキした歯触りと甘みが特徴だ。
大口れんこん栽培の始まりは約100年前。水田から湧き出たガスと一緒に出た水が、栄養過多で稲作に適さず、県の普及指導員の提案で2、3軒分の水田でレンコン栽培を試みた。その後、米の生産調整により栽培を本格的に開始した。
レンコンは10月中旬に生育が終わるが、水田内が〝天然の冷蔵庫〟状態となるため、いつ収穫しても品質が変わらず、出荷を自由に調整できることが魅力だという。
現在の問題は、カモとカメによる食害だ。今年から市の補助金制度を利用し、回転式レーザーによるカモ対策を本格的に実施している。レーザーが体に当たるのを嫌がるため、他の場所へ移動させて食害が抑えられ、以前より被害は減少した。しかし、依然として多額の被害が発生しているという。
カメに関しては「具体的な対策法がなく、生息数も年々増加しています」と苦労を話す。
一方で「新規就農者が増加し、今までに5人が独立しました。年配の方が離農していく中で、世代交代がうまくできています」と笑顔を見せる。
髙橋さんのやりがいは、食べた人の「おいしい」という一言。食べた人の口コミで全国各地にリピーターが増えた。
「今後は、後継者を上手に育てながら大口れんこんという伝統を守りつつ、産地拡大と安定した売り上げを目指していきたい」と力強く話す。