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佐渡の果樹 ブランド力向上へ(2024年7月1週号)

 佐渡市長畝〈ながうね〉で果樹を栽培する須田拓也さん(36)。夏に涼しく、冬に暖かい離島特有の気候を利用し、柿2㌶、ネクタリンとモモ60㌃、サクランボ30㌃、その他にリンゴ、イチジク、アーモンドなど、多品目の果樹を手がけている。

栽培技術を話し合う捧さん親子

 20代を東京で会社員として過ごした須田さんは、果樹農園を経営する父親から「農業をやってみないか」と声をかけられ、2016年にUターン。現在、父から指導を受け、冬場の剪定〈せんてい〉から秋の収穫作業まで、栽培全般に関わる作業を行っている。

 就農してからは自然を相手にすることの難しさを痛感。「8月に収穫が始まるネクタリンやモモは、雨が多いと光合成ができず落果が増えます。逆に、雨が少ないと小玉になったり、実の水分量が減って品質が低下したりします」と苦労を話す。

 しかし、努力のかいあって満足のいく果物が収穫できた時の達成感や「おいしかったよ」と声をかけられた時の喜びは何物にも代え難い感動があるという。

 須田さんは、佐渡島で栽培する果物のブランド力を向上させたいと考えている。「佐渡の果物は味が良く、品質も高いのに知名度がまだまだ低い。同じ品目・品種を栽培しても、全国的に有名な産地と比較すると価格が2~3割安いです」と課題を挙げる。

 個人ができることとして、まずは栽培者を増やすための取り組みを始めた。19年から廃園地を借り、果樹栽培未経験の友人たちを誘って柿を共同栽培している。現在はJA佐渡が廃園地対策の窓口となり、少しずつ新しい栽培者が増えているという。

 新たな作物にも挑戦し、19年にはアーモンドを定植した。昨年から収穫可能になり、収穫したアーモンドは島内のホテルに卸すなどして、販路の拡大にも取り組んでいる。

 「佐渡島のような離島で、さまざまな魅力あふれる果物が取れるのは面白いですよね。皆さんに喜んでいただけるように、これからもチャレンジを続けていきます」と前を向く。

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