タラの芽水耕栽培 早期出荷で経営安定(2022年3月3週号)
タラの芽水耕栽培 早期出荷で経営安定
三条市
春の山菜・タラの芽を冬期間から栽培に取り組んでいる三条市下田地区の「山菜農園きむら」代表・木村正樹さん(48)。秋に畑で収穫した穂木を切り分けて施設内で水耕栽培し、1月からの早期出荷を実現している。
木村さんは高校卒業後、会社に8年間勤務したが、25歳の時に一念発起し就農した。「家が元々キノコ農家だったので、父親がシイタケやナメコを栽培していましたが、キノコ一本では経営が難しくなってきたので、私が就農するタイミングで山菜にシフトしました」と当時を振り返る。
父親から経営を受け継いだ後、栽培する山菜の種類と規模を拡大し、現在ではゼンマイやワラビ、ウドのほか、モミジガサやギョウジャニンニクなど多岐にわたる。その中でも、タラの芽は木村さんが就農直後から取り組んでいて、栽培歴は20年以上だ。
冬の厳しい寒さの中でタラの芽の水耕栽培は気を抜けない。「生育には温度と湿度の管理が重要ですね。特に真冬は、葉が凍みて黒ずんでしまうのを防ぐために、設定温度を上げますが、あまりの寒さで温度が上がらず肝を冷やします」と難しさを話す。
下田地区は豪雪地帯のため、ビニールハウスなどの施設は冬期間使えないことから、農作業場を栽培施設に改装して栽培している。内部は湿度を保つため二重にカーテンを掛け、電熱線を張り温度を管理。そこで水耕栽培に用いられる特殊な蛍光灯で成長を促し、約2週間で収穫する。
収穫したタラの芽は、市内の料亭や青果市場へ出荷するほか、道の駅「漢学の里しただ」で販売される。パック詰めした商品のほかに穂木ごと鉢に入れた観賞用も販売している木村さん。「観賞用は自分で育てた後に収穫し、食すことができる楽しみがあり、好評を得ています」と話す。
「自分が一生懸命作ったものを喜んで買ってくれるお客さんを見ると、とてもうれしく励みになります。売ることにだけ専念するのではなく、リピーターとなってくれるお客さんと末永く付き合いできる関係を築いていきたいです」と熱く話している。