北限のバナナ産地に挑戦(2022年2月1週号)
北限のバナナ産地に挑戦
燕市
雪国・新潟でバナナ栽培に挑む燕市の加藤正人さん(60)。無加温で作れるバナナ北限の地域を目指し、栽培に力を注いでいる。
加藤さんがバナナの無加温栽培を始めたのは、自身が2011年から販売しているハスの花がきっかけ。顧客の中に宮古島在住の人がいて、2年前に「バナナの栽培をやってみませんか」という話があった。
新潟でバナナを栽培して収穫できれば面白いと思い、4品種12株を購入した。しかし、無加温栽培を始めて6月から12月まで順調に育ったバナナの株が、2月上旬に枯れてしまった。原因は、1月に降った大雪で仕事の除雪作業が忙しくなり、管理が行き届かかなかったためだ。
そこで、新たに20品種の株を購入し再チャレンジした加藤さん。春の作業中に堆肥場をふと見ると、枯れたバナナの株を埋めた場所から芽が出ていた。新潟の真冬の寒さを乗り越えたバナナの芽を見て「新潟の地でもバナナは育つことが確信に変わりました。それからは、どの品種が新潟で育つのかを確認するため、40もの耐寒性の強い品種をそろえました」と話す。
失敗を機に熱が入った。無加温栽培を本格的にするため、きっかけとなった宮古島の顧客から熊本の農家を紹介してもらい、栽培に関する情報などアドバイスを受けたが、雪国の地での栽培はノウハウがなく手探りで試行錯誤の毎日だ。
バナナは収穫までは早くて1年、遅くても2、3年といわれており、今はまだ無加温で育つ品種の試験段階だが、1品種で実を付けることに成功したという。「米どころの新潟は、育苗期間を終えるとハウスを使わない期間が長くあります。そのスペースでバナナを育てられれば地域の産業へとつながると思います」と加藤さんは話す。
また、バナナは多年草で栽培のノウハウができれば育てやすいところも魅力という。「無加温で作れるバナナの北限の地域を目指して今後も研究を続け、7月までにつぼみを出し、100日後の収穫を目指したい」と話している。