にいがた版 2020年12月2週号
米生産者に卸業者との取引の場提供 計画生産の一助に
新潟市
農業支援システムを開発している新潟市中央区の「ウォーターセル株式会社(長井啓友代表取締役社長)」は、米生産者が収穫前の米を卸売業者と直接取引できるサービス「アグリノート米市場(こめいちば)=以下「米市場」=を開発。今年10月にサービスの利用を開始した。国の後押しもあり、米の事前契約が増えている中、新潟発のシステムが全国に広がることが期待される。
新サービス「アグリノート米市場」のイメージ
「アグリノート米市場は今までにないサービスです」と長井社長
米市場では、インターネットを通じて収穫前の米の売買契約ができる。最大約1年後に収穫期を迎える米の銘柄・価格・数量などをあらかじめ契約することで生産者の計画的な生産や経営の安定化につながる。
買い手には、全国展開する複数の米卸業者が参画。代金の収納も米市場が代行する。引き渡した米の検収後、米市場から代金が振り込まれる仕組みだ。
生産者は表示されている米の買い取りオファーから、取引したいオファーを選択することで、仮成約となる。仮成約の内容を確認し、問題がなければ承諾。買い手も承諾すると成約となる。生産者の手数料は発生せず、買い手側が負担する仕組みになっている。
利用条件は、同社が開発した農作業記録・管理ソフト「アグリノート」の有料アカウント(年6千円・税別)を持っていること。アグリノートは、圃場や作業を管理するサービスだが、作業記録を付けなくても米市場は利用できる。
米市場の契約数量は大型トラック1台分(200俵)から。両サービスとも比較的大規模な農家を対象としている。米市場では農産物検査後の玄米を扱うため、自身で受検できない場合は農政局に登録されている検査機関などを紹介する。
同社の長井社長は「将来は買い手を米卸業者に限らず、安定的な数量を安定的な価格で買いたいという、外食・中食産業にも広げていきたい」と話す。