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にいがた版 2020年9月4週号

下水熱利良しワサビ実証試験

長岡技術科学大学 長岡市

長岡技術科学大学では、民間企業と協力しながら、新潟市西区の西川浄化センターで下水熱を利用したワサビ栽培の実証実験を行っている。順調に生育したワサビが間もなく収穫を迎える。

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下水熱を利用したワサビの栽培方法を
説明する姫野准教授

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もうすぐ収穫を迎える早生品種「正緑」

「下水熱が融雪や空調に利用されている事例はありますが、植物栽培はおそらく初めてです」と話すのは、長岡技術科学大学の姫野修司准教授。下水道資源には汚泥や消化ガス、CO2など、さまざまな活用事例があるが、現在は下水熱が注目されている。
下水の水温は、外気温と比べて夏は冷たく、冬は暖かいため、外気温との温度差をエネルギーとして活用。川に放流される直前の処理された下水から熱を回収している。その熱をヒートポンプを利用して、夏は冷熱、冬は温熱を作り出し、1.4㌧の冷温水タンクの水を夏は8~10度、冬は40~45度に保っている。
冷温水タンクの水とワサビの栽培水を熱交換器に通して熱交換。栽培水を冷やしたり、温めたりして、年間を通して栽培水の温度が12度から13度になるよう設定し、ワサビの株の上からかけ流している。
同センターでは昨年3月にワサビ600株を定植。塩素を取り除いた水道水にミネラルを追加し、循環させている。栽培しているワサビは、生育期間が2年の「真妻」と1年半の早生品種「正緑」。順調に育っており、正緑がもうすぐ収穫を迎える。
従来のワサビの栽培方法は水を循環させないため、水を大量に使うが、実験ハウスでは、循環させることで大幅な節水に成功。水温も保ちやすく、効率的だという。
姫野准教授は「下水から夏は冷熱、夏以外は温熱を回収することで、下水処理施設のある地域であれば、ワサビに限らず、年間を通して植物に最適な栽培環境を構築することができます。植物栽培を通じて地域に貢献したり、自治体や民間企業が下水処理施設で植物を栽培できるようになったらうれしいですね」と今後の展望を話す。
一般の人も西川浄化センターの実験設備を見学可能。問い合わせ先=県土木部都市局下水道課(電話025・280・5436)

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