にいがた版 2019年9月2週号
どぶろく「蒸米仕込み」「米粉仕込み」
上品さが自慢
「特定非営利活動法人UNE〈ウネ〉」代表理事 家老 洋さん 長岡市
「米粉で造った雪中壱乃界〈せっちゅういちのかい〉は、もろみの粒が無いため、とても飲みやすいどぶろくです」と話すのは、長岡市一之貝の「特定非営利活動法人UNE〈ウネ〉」で代表理事を務める家老洋さん(61)。今年の2月、岩手県遠野市で「第13回どぶろく研究大会」が開催され、同法人が出品したどぶろく「雪中壱乃界」が、濃芳醇〈ほうじゅん〉の部の全国41銘柄の中から優秀賞を受賞した。
「フルーティーで飲みやすい |
亀ノ尾で造った |
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2013年に認定農業者になった同法人は、同年6月に長岡市がどぶろく特区に認定されたのをきっかけに製造免許を取得。どぶろくの製造・販売を始めた。研究大会では、フルーティーな甘さを残しつつ、しっかりとしたアルコール感覚を感じる上品な仕上がりが高い評価を受けた。
新潟県内では、どぶろくは通常、蒸した米で造られる。中の米を食べるので、食味のいい「コシヒカリ」で造るのが一般的だ。雪中壱乃界は現在、食用米・酒造好適米として高い評価があり、コシヒカリの先祖米に当たる「亀ノ尾」と、「農林22号」を使用。それぞれ蒸米仕込みと米粉仕込み、計4種類を製造している。
通常の製粉処理を行った米粉(β化)は、どぶろくの醸造には使用できないが、雪中壱乃界は、山形大学と地元企業が共同で開発した製粉機でひいたα化した米粉を使用。通常の蒸米のどぶろくに比べ、醸造期間が短く、米の粒がほとんど残らない、滑らかな口当たりが特長だ。
「酒造業を始めるに当たり、地元酒造会社で長年、杜氏〈とじ〉と一緒に働いた経験豊富な職人に来てもらい、醸造のノウハウを教えてもらいました。何度も試行錯誤を重ねて苦労しましたが、多くの方々からの協力もあり、満足のいくどぶろくを完成させることができました」と家老代表は自信を見せる。
雪中壱乃界は、同法人が経営する農家レストラン「UNEHAUS」や道の駅「R290とちお」などで販売中。電話での注文や「新潟直送計画」で通信販売も行っており、好評発売中だ。
「UNEが自信を持って提供するどぶろくをぜひ、皆さまにも味わっていただきたいです」と笑顔で話す。
▽農家レストラン・どぶろく雪中壱乃界などの問い合わせは、特定非営利活動法人UNE、電話0258(86)8121へ。
(江口敬人)