にいがた版 2018年8月4週号
地域の水田を守る
啓愛ファーム代表取締役 板鼻 正和さん 南魚沼市
「有限会社啓愛ファーム」の代表取締役を、2017年3月に父親から引き継いだ南魚沼市山谷の板鼻正和さん(31)。地域の担い手となって水稲の受託面積を増やし、地域に貢献するだけでなく、安全・安心な良食味米を消費者に届けている。
穂肥をまく板鼻さん。「担い手として地域に貢献していきます」と話す
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㈲啓愛ファームは地域の水稲耕作を担っており、現在は16㌶を栽培している。板鼻さんは東京農業大学を卒業後に就農。主に父親と2人で作業しており、春や秋の忙しい時期には臨時で従業員を雇っている。
高齢化などで農業を続けられない人が増えていく同地域では、同法人がとても貴重な存在だ。受託面積が年々増えているが、板鼻さんは「自分がいるから安心して任せてください」と力強く話す。
品種は「コシヒカリ」の他、「こがねもち」や「五百万石」「新之助」を栽培。新之助は高温に強く、コシヒカリより稈長が短いため、風で倒れにくいなどの特徴がある。
「新之助は昨年30㌃でしたが、今年は60㌃に増やしました。晩成品種のためコシヒカリと作期分散ができていいですね」と新之助を栽培するメリットを話す。味もコシヒカリと同水準だと好評を得ている。
「地域の評判を落とさないためにも、中途半端なことはできません」と板鼻さん。日本穀物検定協会が発表する17年産の食味ランキングで、魚沼コシヒカリが28年間守ってきた特AランクからAランクに移行した。「ランクが下がってもやることは変わらないですね。自然相手なので、最善を尽くすだけです」と真剣に話す。
また、同法人は17年11月にJGAP(農業生産工程管理)の認証を受けた。JGAPは、作業内容や作業実施者など、全てを日報に記録する必要があるため、取得するには相当な努力が必要だ。「東京オリンピックの選手村へ米を提供するのに必要と聞いたので、JGAP認証を受けようと決めました。結果的に安全・安心なお米を食べられると、お客さんにも喜んでもらえると思います」と話す。
「来年から常時雇用の従業員を1人採用する予定です。もっと地域に貢献できるように、これからも頑張ります」と意欲を見せる。
(西潟研二)