にいがた版 2018年6月1週号
新津茶
後世へつなぐ
小口手摘製茶法伝承の会 新潟市
田植えが終わる頃から、新潟市秋葉区小口集落では「小口手摘製茶法伝承の会」が中心となって、茶の新芽「一番茶」を摘む作業が始まる。同会では、地元の小学生たちと手もみ茶体験を行うなど、新津茶の栽培を後世に引き継ぐため、積極的に活動している。
新津茶の新芽の摘み取りなど、楽しみながら体験した地元小学生 |
小口手摘製茶法伝承の会のメンバーによると、江戸時代に京都宇治から茶の種が新津地区に持ち込まれ、新津茶の栽培が始まったという。在来種で、他のお茶と飲み比べると甘味やまろみが格段に良いのが特徴だ。
生産のピークだった明治には輸出されるほど貴重だったが、他の産業が発展したことなどにより、茶の生産は昭和の終わりに幕を閉じた。しかし、昔ながらの茶の栽培を伝承していくため、同集落の有志らによって、わずかながらも新津茶が栽培され続けてきた。
2013年には、小口手摘製茶法伝承の会が発足。地元の新関小学校の児童を迎え、地域学習の受け入れが始まった。
お茶の摘み取りから飲むまでの体験を通じ、新津茶の伝承につなげている。子供たちにとっても、普段接することが少ない地元の人や地域の歴史・文化、農業の楽しさなどに触れることができ、良い機会となっている。
今年も5月23日に体験学習が行われ、児童らは童謡の「茶摘み」を歌いながら、茶摘みの作業を楽しんだ。体験した児童からは「こんなに時間がかかるんですね」「蒸した茶葉はとってもいい香り」などの声が聞かれた。
同会の会長・渡辺与志和さん(72)は「柔らかい新芽を摘んで、すぐお茶にすると煎茶。茶葉を半分ほど発酵したものはウーロン茶。十分発酵させると紅茶となります。こうしたことも知った上で飲むと、皆さんも一味違うのではないでしょうか」と笑顔で話す。一番茶は毎年5月中旬に摘み、二番茶は7月ごろの予定。
(青木陵)