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にいがた版 2018年5月1週号

素材、微生物、環境がポイント
研究重ね最高の堆肥に

小林 敏信さん 三条市

独自でブレンドした堆肥を生産・販売している三条市荒町の小林敏信さん(66)。小林さんの作る堆肥は、連作障害を防止するだけでなく、使用した農家から「病気にかかりにくくなった」「食味が良くなった」と好評を得ており、県内外から「堆肥作りを教えてほしい」と堆肥作り教室も開催している。

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一昨年に完成した堆肥場で小林さん


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自慢のオリジナル堆肥を手に小林さん

「堆肥作りで重要なのは、素材と発酵を促す微生物、そして、最も大切なのが環境づくりです」と話す小林さん。一昨年に建設した堆肥場は、壁や床のコンクリートに数種類の鉱石を練り込んだ他、水管が張り巡らされている。
これらの鉱石には酸化還元作用の他、化学物質や悪臭などの吸着作用があるとされ、堆肥化を促進してくれるという。キノコの廃菌床の堆肥化は、通常1年かかるが、この堆肥場で行えば3カ月で完了する。
小林さんは2006年、父親から水稲約2㌶を引き継ぐと同時に有機栽培に取り組み始めた。当初、食味・収量ともに満足のいくものが生産できていたが、次第に連作障害に悩まされるようになった。
市販の有機肥料などで対策を試みたが、思ったような効果が得られなかったため「連作障害とは何か。なぜ起きるのか」を詳しく理解する必要があると感じた。そこで、6年前から長野県にある連作障害を研究する研究会で学び、現在も実践研究のために通い続けている。
連作障害は、連作によって土の中の栄養素が不足するだけでなく、微生物や土が本来持つ自然由来の力が不足することで発生することを研究会で学んだ小林さん。市販の有機肥料では補いきれないため、元の自然な状態の土に戻してくれる堆肥を作る決意をした。
小林さんはキノコの廃菌床を使用した堆肥の他にも、牛糞(ふん)や馬糞を使用した堆肥など、契約先の農家のニーズに合った堆肥を製造。家庭菜園でも使えるように少量の20㍑を千円で販売している。
「今後、体力的に農業が難しくなってきますが、良質な堆肥を作ることで、これからの農業者に活用していただきたいですね」と期待を込める。
(早川利仁)

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