にいがた版 2018年2月3週号
もみ殻ストーブ
加温費用を削減
㈲あかりテック 見附市
「もみ殻ストーブ」を導入し、循環型農業副産物事業を展開している見附市学校町の「株式会社あかりテック」。もみ殻を焼却した際に出る排熱を利用してハウスを加温し、水耕栽培を実現した。兼業農家で代表取締役も務める佐藤喜博さん(61)の長年の農業経験を生かしたこの取り組みが、今、大きな注目を集めている。
「もみ殻ストーブ」の前で佐藤さん㊥、 水耕栽培担当の小出さん㊧、機械担当の池田さん㊨ |
水耕栽培のリーフレタスの生育を見る小出さん |
もみ殻ストーブから製造される燻炭 |
もみ殻ストーブは、その名の通りもみ殻を燃料として焼却するストーブのことで、あかりテックでは、焼却時の排熱をハウスの加温に使用している他、土壌改良材として利用できる燻炭(くんたん)も同時に製造している。
もみ殻は高温で焼却すると有害物質が発生するが、もみ殻ストーブは低温で焼却するため、安全に燻炭を製造することが可能だ。煙や臭いもほとんど出ないのが特徴で、重油に比べてコストや環境に優しい構造となっている。
ハウス内では主にリーフレタスを栽培し、直売所や地域のレストランに出荷する。直売所では即完売してしまうほどの人気商品で、「新鮮でえぐみがなくておいしい。無農薬で安全」と好評を得ている。
もみ殻ストーブを導入して3年目になる同社では、もみ殻や燻炭の袋詰め、梱包(こんぽう)作業を障害者施設に委託している。障害者の自立支援や社会参加の後押しなど、社会貢献活動にも積極的だ。
こうした事業モデルが多くの団体や法人から注目されており、同社へ視察に訪れる人は後を絶たない。昨年は近隣地域の生産組合でももみ殻ストーブを導入するなど、同社のビジネスモデルが波及しつつある。
次なるイノベーションとして、もみ殻の燃焼灰のペレット(固形)化に挑戦する予定だという佐藤さん。実現すれば、家庭用ストーブの省エネ化や今まで粉末状で散布しにくかった燻炭が簡単に散布可能となるなど、多くの期待が寄せられている。
「これからも農家の目線で周りの声に耳を傾けながら、地域の課題の発見、解決に結び付けていきたいです。『一歩先を創造する技術』をキャッチフレーズに、よりよい地域社会の実現を目指していきます」と熱く話す。
(田沢天雅)