にいがた版 2017年9月4週号
一つ一つの作業を丁寧に
最高の品を届ける
畔上克己さん 上越市
「手間暇かけて育てたイチジクを食べてもらい『甘くておいしい』と言われるのが、何よりうれしいですね」と話すのは、上越市板倉区宮島の畔上克己(あぜがみかつみ)さん(70)。15年ほど前からイチジクの栽培に取り組み、多くの消費者に届けている。
「甘さが売りのイチジクです」と畔上さん
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一文字仕立てのイチジク |
畔上さんは水稲とイチジクの複合経営をしており、30㌃で440本ほどのイチジクを栽培している。品種は、「枡井(ますい)ドーフィン」と「ホワイト・ゼノア」の2種類。ホワイト・ゼノアは栽培が難しく、栽培本数は全体の1割ほどだが、糖度が高いのが特徴だ。
イチジクの栽培を始めたきっかけは「休耕田を有効利用し、地産地消につなげたい」との思いから。知人がイチジクを栽培しているのを見て「手間が掛からない」と思っていたが、果樹栽培の専門技術者から話を聞きながら実際に栽培したところ、作業の大変さを実感したという。
春は、畔上さんが特に力を入れている土作りから始まり、収穫時のことを考えながら結果枝を剪定(せんてい)、芽かき、誘引する。栽培本数が多いため、芽かきは繰り返し行う。
親木は横一文字に仕立てており、積雪に備え枝の下に古タイヤを入れて、雪の重みに耐えられるようクッション代わりにするなど工夫している。
収穫は8月上旬から11月中旬までの約100日間で、早朝から作業を始める。夏のイチジクは皮が薄いため、手すれしないように慎重に収穫。選果・パック詰め・出荷は妻と行うが、繁忙期には知人の力を借りることもある。
収穫したイチジクは、JAの農産物直売所や近隣のスーパー、市内のイタリア料理店、フランス料理店に出荷。直売所からは「リピーターも多く、すぐに売り切れてしまうので、販売を心待ちにしている人がいっぱいいます」と言われるほど人気だ。
畔上さんは、栽培技術を磨くため、毎年県内を巡回して行われている研修会にも積極的に参加している。「生産者同士で情報交換しながら、栽培技術や工夫していることなどを参考にしています。まだ後継者がいないのが残念ですが、今までの経験を生かし、この地域にあった安全・安心でおいしいイチジクの栽培を続けていきます」と意欲的だ。
(大島一夫)