にいがた版 2016年10月3週号
非農家が耕うんから収穫まで
集落超え棚田守る
週末コメつくり隊 柏崎市大角間
「田んぼは集落・農村の生活環境の一つであり、田んぼが荒れると集落も荒れてしまいます」と話すのは、柏崎市大角間の小林紀一郎さん(72)。集落内で休耕地が増えていく現状を目の当たりにし、2005年から「週末コメつくり隊」に自身の田を貸し出すと共に、農作業の指導を行っている。
農作業を指導しながら収穫を手伝う小林さん |
稲を収穫するコメつくり隊のメンバー |
「週末コメつくり隊」は、財団法人柏崎市農業振興公社(当時)の「柏崎市の棚田と農業を守ろう」という働きかけに賛同した一般世帯の人たちにより、05年に結成された。現在、同集落外の7家族で構成されており、水稲47㌃を管理している。
オーナー制と違い、各メンバーが田を受け持ち、田植えや稲刈り作業のみならず春の耕うん作業から秋の収穫作業まで、ほとんどの管理をこなす。受け持ちの田で収穫した米は、全量受け取ることができるという仕組みだ。
同組織のメンバーは「常に草との闘いで大変なことも多いですが、自分で一から作った米はすごくおいしいです」と農作業に汗を流す。
同集落の棚田は、雨水や雪解け水を利用した天水田のため、水の管理には注意が必要。また、大型機械は入れないため、手作業も多い。効率は悪いが、これら全てが大角間の魅力だという。
「天水田は、生活排水や工場廃水が一切流れ込みません。雄大な自然がおいしい米を育ててくれます。土地の恵みを実感しますね」と話すメンバー。
同集落は昔、60戸中40戸が農家だったが、現在は24戸中6戸にまで減少。集落から離れる世帯や高齢化による離農が進行していたが、同組織発足のおかけで休耕地の増加に歯止めがかかった。
小林さんは、集落の共同作業や各種行事などに同組織のメンバーを招き、農業への理解を深めてもらうと同時に、地元住民との交流の場も提供している。
「週末コメつくり隊の人たちには、農業を楽しんでやってもらいたいですね。それが田んぼ、そして集落の保全につながっていくのではないかと思います」と小林さんは力強く話す。
(田沢天雅)