にいがた版 2016年7月4週号
南魚沼のホップが香る
故郷でビール醸造「世界に広めたい」
㈱シンポ企画代表取締役南魚沼市出身 青木 辰男さん
良質なホップを生産して、将来は日本産ホップを世界へ広げていきたいですね」と力強く話すのは、都内に本社を置く株式会社シンポ企画代表取締役の青木辰男さん(64)。青木さんは南魚沼市黒土新田の出身で、同市にある醸造所「ストレンジブリューイング」で自社産ポップを栽培、醸造を行っている。
ホップ畑を背にクラフトビールを |
ホップの生育状況を確認する松田さん |
「八海山から流れる水が醸造に適しており、この地でなら求めていたビールが造れると感じたので、栽培を始めました」と青木さん。
ホップは高温多湿が苦手な植物。品種や栽培方法にもよるが、北緯38度より高い地域が栽培に適しているとされ、日本では、北海道や秋田県、岩手県などで栽培が盛んだ。そのため、南魚沼市の気候を考えると、ホップを栽培するにはあまり適しているとはいえない。それでも「南魚沼の地でビールを造りたい」との強い思いから、県外視察を重ね、見よう見まねで作付けを始めたという。
栽培管理を手伝っている松田勝さん(71)は「栽培は今年で6年目になります。いろいろと試行錯誤し収量が増え、昨年は約80㌔収穫できました」と、うれしそうに話す。
ホップは雪解けが進み、畑の土が見えてくる頃、芽を出し始める。同社では、その中でも生育良好な芽を厳選して栽培するという。つるは成長すると約5㍍ほどの長さになり、糸に絡ませて育てる。
「今年は少雪の影響で、例年より新芽の伸びが早く、収穫する毬花(まりはな)の位置が高くなりました。7月から収穫を始めますが、つるが伸び過ぎた分、収量に影響がないか心配です」と松田さんは苦労を話す。
収穫後は併設する醸造所で製品にし、同社が手掛ける都内の飲食店「POPEYE(ポパイ)」
で提供している。同店は、日本初のクラフトビール専門としてオープンした。
「自社産ホップを使用したクラフトビールは、風味が良く、香り高いとお客さんから好評です」と笑顔で話す青木さん。「国内でもホップの品種改良が進んで、日本産ホップが世界へ広がっていってほしいですね」と期待を寄せる。
(福原敏史)