にいがた版 2016年7月1週号
越の梅
初夏の実りを提供
上越市 名立地区 ウメ栽培組合
「今年産のウメは豊作です」と笑顔で話すのは、上越市名立区の梅栽培組合で組合長を務める室橋勇吉さん(75)。県が誇るウメの品種「越の梅」が収穫期を迎え、組合員は選果・出荷作業に追われている。
収穫した越の梅は手で選別後、機械で選別する。 |
出荷の準備をする組合員 |
越の梅は小粒だが、皮が薄くて果肉が厚いため、梅干しや梅酒などの加工品に適している品種だ。
中山間地の休耕地活用と農業者の所得拡大を目的に1989年に発足した梅栽培組合では、2.2㌶の耕地で約580本の越の梅を栽培。現在21人の組合員がウメの栽培・出荷に携わっている。
化学肥料や化学合成農薬の量を慣行栽培の5割以下に減らした栽培にも取り組んでおり、2005年には県特別栽培農産物認証を取得した。また出荷時には、栽培方法や生産者の声を載せた広告を同梱(どうこん)するなど、消費者目線で生産者の顔が見える安心・安全なウメ作りに力を入れている。
「今年は冬の暖かさが影響し、例年より開花が早まりました。そのため、受粉がうまくいくかどうか心配していました」と室橋さん。組合員の栽培努力が実を結び、豊作となったことで安堵(あんど)の表情を見せる。
同組合が栽培したウメは、市内の農産物直売所「旬菜交流館あるるん畑」で生ウメを販売する他、生協の食材宅配サービスでも購入可能だ。市内外の酒造会社へは梅酒加工用に、JAへは梅干し加工用として出荷しており、今年は全体で約7㌧の出荷を見込んでいる。
ウメは、加工目的に合った大きさがそれぞれ求められる。Sサイズから3Lサイズまでの規格があり、梅干し用はMサイズ、梅酒用はLサイズの需要が高い。ウメは一つ一つ丁寧に手で収穫し、大きさ、斑点の有無などを見るため手選別を1回、さらに機械での選別を1回行い、出荷先の希望に沿った大きさごとに商品として提供される。
室橋さんは「生産者の高齢化が進み、収穫や選別の手作業が大変だと感じることもありますが、高品質なウメを届けるために、組合員が協力しながら頑張っています。今がウメの出荷の最盛期です。名立のウメをぜひ味わってもらいたいですね」と出荷作業に汗を流す。
(相浦典子)