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キッチンカーでスパイスカレー 米農家の挑戦(2024年6月1週号)

 胎内市塩津地区の佐藤十代一〈とよいち〉さん(59)は、2022年12月に「農家のキッチンカー CuminCumin」をオープン。スパイスカレーを販売し、現在は妻の則子さん(52)が2台目のキッチンカーでアジアンフードを販売する。家族で協力し合いながら、交流サイト(SNS)を活用して週末を中心にイベントに出店している。

笑顔で接客する佐藤さん
常時2種類のカレーを用意している

 カレーはスパイスの組み合わせで無限の味わいになるのが魅力だという佐藤さん。「辛さを求める人も多いですが、体に優しくスパイスの風味を感じられるおいしいカレーを提供するのがモットーです」と話す。

 佐藤さんは水稲3㌶を栽培。農家を継ぐつもりで農業高校に進学し、卒業後は兼業農家として一般企業に就職した。しかし、60歳を前にして元気なうちに好きなことがしたいと思うようになった。たまたま同市の若手イチゴ農家と話をした時に、若くても頑張っている人がいることに感銘を受け、退職を決意した。

 その後、何をしようかと考えていた際「自分が栽培したお米を食べてもらうのが一番ではないか」と思い、真っ先に浮かんだのがカレーだった。農業の合間を縫っての営業となるので、店舗を構えるより、どこへでも移動できるキッチンカーで販売することに決めた。

 それからは、各地のカレー店を食べ歩いてスパイスの調合を研究しては試食を繰り返した。「たくさん失敗もしましたし、初めてのことばかりで不安でしたね」と当時を振り返る。

 「食は好みがあるので、受け入れてもらえないこともありますが、お客さまの『おいしかった』の一言で救われたことも多いですよ」とうれしそうに話す。

 この仕事では、ライバル店であっても助言や協力をしてくれる人が多く、感謝しているという佐藤さん。

 農家もキッチンカーもいつまでできるか分からないが「何事も根詰めず、自分なりの逃げ道を持つようにしています。この年でも新しいことに挑戦できるので、若い世代には農業はもちろんのこと、さまざなことにチャレンジしてほしいですね」と話す。

 ▽農家のキッチンカー CuminCuminのインスタグラム=@kitchencar.cumincumin

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