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米・野菜、農家民宿 山間地農業を守る(2023年3月1週号)

 標高約200㍍に位置する小千谷市若栃集落。冬には3㍍以上の雪が積もる豪雪地帯だが、棚田が一面に広がる自然豊かな地域だ。この地で水稲約8㌶のほか、スイカやカリフラワーなどの野菜を栽培する「株式会社Mt.ファームわかとち」は、地域を守り、地元経済の維持や若い世代の雇用創出に力を注ぐ。

農林水産大臣賞を受賞し表彰状を手にする細金さん(左から2人目)と社員
ごはんや山菜がおいしいと評判の農家民宿「おっこの木」の前で細金さん

 「今年も雪の量が多く除雪作業に追われています、育苗作業の準備もあるので大変です」と話す代表の細金剛さん(70)。同社は地域活性化や地元農業の後押し、販売促進を目標に2016年、地元農家が共同出資で設立した。

 栽培する「コシヒカリ」は、農薬・化学肥料を5割まで減らした特別栽培米だ。ミネラル豊富な雪解け水や、昼夜の温度差が大きい山間部ならではの気候で、食味が良く濃厚な甘みと粘り強さが好評。全国から注文が多い。

 「棚田が多く、管理など手間がかかり大変ですが、『おいしかった』と言われると、継続し続けるという使命感が出ますね」と細金さんは笑顔で話す。

 コシヒカリや野菜の販売のほかに、山菜を使った加工品も製造。同社が2010年に開業した築160年の古民家を改修した農家民宿「おっこの木」で提供する料理にも使用している。コロナ禍で利用客は減少したものの、現在、年間300組ほどが利用しているという。宿泊客からは「ごはんや山菜がおいしく、田舎のおばあちゃんの家みたいで楽しかったです」と好評を得ている。

 また、インターン生の受け入れや、しめ縄工房を独立させて体験希望者も受け入れるなど、伝統文化の継承にも取り組んでいる。このような活動が評価され、同社は、農山漁村におけるむらづくりの優良事例を表彰する「豊かなむらづくり全国表彰事業」の農林水産大臣賞を22年に受賞した。

 「高齢化社会となり、どのように収益を上げて地元を維持していくかが今後の課題です」と細金さんは話している。

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