にいがた版 2020年11月3週号
県特産西洋ナシ「ル レクチエ」 特産支える確かな腕
三条市
およそ100年前にフランスから県内に導入された西洋ナシ「ル レクチエ」。栽培が難しく、全国的に見ても生産量が少ないことから〝幻の品種〟と呼ばれている。その中でも、全国1位の出荷量を誇る本県では新潟特産品として珍重されており、お歳暮としての人気も高い。
ル レクチエを出荷用の包装袋へ丁寧に入れる吉武さん
三条市荻島の吉竹和巳さん(48)は、ル レクチエ約50㌃の他、日本ナシ・モモを栽培する果樹専業農家。ルレクチエの栽培を本格的に始めたのは25年ほど前だ。
「病気に弱い品種なので、管理にとても手間がかかります」と話す吉竹さんは、長年の苦労が実を結び、昨年「新潟県果樹高品質生産拡大共進会」で最優秀賞を受賞し、農林水産大臣から表彰された。
10月に収穫を終えると、病虫害から実を守るためにかぶせてあった紙袋から中身を取り出し、検品しながら透明の包装袋へ1玉ずつ丁寧に入れる作業に追われる。
収穫したてのル レクチエは、鮮やかな緑色をしており、実はまだ硬い。収穫後に20度以下でおよそ40日間「追熟」させることで、表面の色が次第に緑色から黄色へと変わる。糖度が高まり果肉が柔らかくなって、ようやく出荷できる状態になる。
「一気に成熟しないよう、追熟の段階で1~2週間、0~1度の冷気に当てます。成熟具合を均一にそろえるのですが、出荷時期に合わせての温度管理がとても大変です」と苦労を話す。
「食べ頃のサインは、〝果実全体が鮮やかな黄色(やまぶき色)になる〟〝甘い香りがしてくる〟〝やや弾力のある硬さになる〟ことです。完熟に近づくと、軸の部分が茶色く変色してくるので、甘くとろける食感が好みの方は、目安にすると良いと思います」とアドバイスする。
「幸いにも、今年は台風が本県に来なかったこともあり、収穫量に大きな影響はありませんでした。成熟が順調に進めば、11月20日ごろにはおいしいルレクチエを皆さんにお届けできるかと思います」と笑みをこぼす。
(笹川正宏)