にいがた版 2020年8月4週号
台風 知って備える
気象庁新潟地方気象台 永田気象情報官が解説
気象庁新潟地方気象台 新潟市
本県への台風による雨や風の影響は、台風がどこを通るかによって変わる傾向がある。台風が本県に与える影響など、気象庁新潟地方気象台の永田俊光気象情報官が解説する。
台風は年間平均で約26個発生し、約11個が日本に接近する。そのうち約3個が日本に上陸している。発生・接近・上陸ともに7月から10月にかけて多い。
8月は台風を流す上空の風がまだ弱いため、不安定な進路を取ることが多いが、9月以降になると南の海上から放物線を描くように日本付近を通る傾向が見られる。
発生数や上陸数は、近年さほど変化していないが、地球温暖化の影響で海水面の温度が高くなるなど、勢力の強い台風の接近や上陸で大きな被害が出ている。
暴風になるのは台風の中心付近。特に台風が進む右手側では、台風自身の風と台風を移動させる周りの風が同じ方向に吹くため、風が強くなる。
台風が図1の(1)の進路を進むと、雨量は少ないが、台風からの暖かい南風が山を越えて吹き下ろすフェーン現象が起こる。(2)のように台風が本県の西を北上すると、風の影響が中心となる。(3)のように本県付近を北上すると、雨と風の両方に影響し、(4)のように東を北上すると、大雨が中心となり、海上・海岸では暴風となりやすい。台風が本県の西を北上する場合、少し遠ざかっていても急に風が強くなることが多いので、注意が必要だ。
気象庁では台風が日本に接近する場合、台風情報の他、気象警報などのさまざまな情報を提供している。2017年には大雨警報・洪水警報の危険度分布の提供を開始した。
危険度分布は、警報が発表された時や大雨が続く時に、どこで土砂災害・浸水害・洪水の危険度が高まっているかを地図上で色分けして表示する(図2)。危険度は黄→赤→薄紫→濃い紫の順に高くなる。危険度の高まりを一目で把握できるので、日常生活や大雨時の避難判断などに活用していただきたい。