にいがた版 2019年12月2週号
黒米、黒小豆、ブラックベリー
黒で届ける奥阿賀の恵み
「奥阿賀創生事業株式会社」代表取締役 山口 庫幸さん 阿賀町
黒米や黒小豆、ブラックベリーなどのブラックフーズ(黒い食べ物)を使った商品開発を行っている阿賀町の「奥阿賀創生事業株式会社」。同社代表取締役の山口庫幸さん(68)は、所有する水田40㌃で黒米を栽培している黒米専業農家だ。
「栄養価の高い黒米だけを栽培しています」と山口さん |
山口さんが開発した商品 |
山口さんが栽培する黒米「朝紫(あさむらさき)」は、早生の晩の品種。「コシヒカリ」などと比べると収量は少ないものの、抗酸化作用のあるアントシアニンを豊富に含む栄養価の高い米だ。
山口さんの先代では、コシヒカリ主体に作付けしていたが、5年前に事業の兼ね合いと、別品種が混ざることを回避するため、黒米だけを栽培することにしたという。
銀行が主催するビジネスプランコンテストで、2016年にコシアブラの栽培について発表して奨励賞、17年にはブラックフーズの商品開発について発表して優秀賞を受賞したことがきっかけとなり、会社設立を決意。周囲からの応援もあり、設立から3年目を迎えた。
昨今の健康志向ブームで、消費者からブラックフーズを使った商品が少しずつ認知されるようになってきた。山口さんは「最初は20㌃の作付けでしたが、今は2倍の面積になっています。大量生産するには、これから知名度を上げる必要があります」と力強く話す。
就農前は、エンジニアの仕事をしていたという山口さん。当時の考え方を生かして、「黒米お赤飯」「黒米健幸茶」「黒米酢」などの商品を開発した。さらに、キウイフルーツの原種といわれるサルナシを使った酢も開発。東京都の日本橋にある「ブリッジにいがた」や新潟市西区にあるJA新潟みらいの直売所「ファーマーズ・マーケット いっぺこ~と」の他、インターネットでも販売している。
黒米お赤飯は、もち米と山口さんが栽培した黒米に黒小豆を混ぜた商品で、炊飯器で手軽に作れる人気商品。黒小豆は普通の小豆に比べるとあっさりとした食感で、小豆が苦手という人も「これなら食べられる」と好評を得ている。
山口さんは「黒米だけを作付けする農家は珍しいと思いますが、もっと多くの人から知ってもらえるように頑張ります」と意気込みを話す。
(青木陵)