にいがた版 2019年8月3週号
自家産ワインの農家民宿
夢実現へ着々と
下川 淳也さん 佐渡市
「お客さんにワインと地場産の食材を使った料理を楽しんでもらうのが目標です」と話す下川淳也さん(38)。自分で栽培したブドウでワインを造るという夢を実現するため、昨年、佐渡で新規就農し、日々試行錯誤しながら果樹栽培に励んでいる。
「佐渡の気候などに合う品種を模索しながら |
垣根仕立てで昨年定植した |
以前は東京の飲食店で働いていた下川さん。Iターンで佐渡へ移住して今年で5年目となる。「移住先として、山梨県などブドウを栽培しやすい環境の候補地はいくつかありました。その中でも佐渡は、さまざまな果樹が栽培されていますが、有名なブドウ産地ではないからこそ、ワイン造りにやりがいを感じるのではないかと思い選びました」と力強く話す。
移住1年目は知り合いの農家の農作業を手伝い、2年目からは新規就農するため、佐渡有数の果樹産地である西三川の複数の農園で、2年間研修を行った。元々、農作業を行った経験が無かったため、研修先ではリンゴやナシ、ブドウなどの栽培方法を基礎から学んだ。
2年間の研修を終え、研修先の農園の協力もあり、昨年の春に新規就農。20㌃の農地にブドウを定植した。定植したブドウが本格的に収穫できるのは3年後。さまざまな品種を定植し、佐渡の気候や環境に合った品種を模索しているという。
下川さんは、棚仕立てではなく垣根仕立てで栽培し、約1.2㍍の植栽間隔で定植している。これにより、栽培管理がしやすく、日当たりも良くなるため品質の良い果実が生産できるという。園地や木の状態を日々確認し、生育状況の把握に努めている。「本格的に収穫ができる3年後には、収穫したブドウをブレンドして、ワインを造りたいです」と意気込む。
また、今年の秋には妻と営む農家民宿のオープンも計画している。「ゆったりワインが飲める宿」をテーマに、1日1組限定で、ワインと地場産の食材を使った料理を提供する予定だ。「ワインはもちろんのこと、それに合った地場産の魚介類などを使った料理に舌鼓を打ち、佐渡の豊かな自然の中でゆったりとした時間を過ごしてもらいたいですね」と笑顔で話す。
(佐久間圭吾)