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にいがた版 2019年8月2週号

山奥まで追い払い

中村昇三さんの愛犬サブ 胎内市坂井集落

胎内市の山間部にある坂井集落では、15年ほど前からサルによる農作物被害に頭を悩ませている。そんな中、同市坂井集落の中村昇三さん(71)と、サルを追い払う「モンキードッグ」の愛犬「サブ」は、集落内パトロールを行っており、被害低減の効果を見せている。

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「モンキードッグの愛犬サブと共にサルの農作物被害を食い止めたいです」と中村さん

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サルの出没場所を記した坂井集落地図。パトロール場所を決める際に使用する

年々増加するサルの被害は、柿やクリなどにとどまらず、集落内の畑や田んぼにまで及ぶ。同市農林水産課によると、2018年における胎内市のサルによる農作物被害は38.9㌶、140万円に上った。被害を受けた農家の中には、生産意欲を無くし耕作を放棄する例もあり、野生動物が隠れ、生息できる場所が増えるという悪循環が起こっている。
中村さんは、鳥獣被害対策勉強会でモンキードッグを知った。「畑で農作業しているおばあちゃんのすぐ後ろで、サルが野菜を引き抜いていたこともある。愛犬のサブをモンキードッグにして、地域の役に立ちたいと考えた」と話す。
サブは同市初のモンキードッグとして、胎内市から認定され、6月中旬に認定証が交付された。活動は毎日朝夕2回の集落内パトロール。サルの出現が知らされると、サブのリードが外され、山奥までサルを追い払いに行く。住民からは「サブがパトロールをするようになってから、サルの出現数が減った」との声があり、今後の期待値の高さが伺える。
現在、同集落では、区長や農家組合長、猟友会などで結成された「坂井鳥獣被害防止対策協議会」が獣害対策を講じている。サルの通り道になっている川沿いの竹やぶなどの間伐を行う他、サルの餌となる農作物や墓の供え物の菓子を放置しないよう周知活動も行っている。また、犬のにおいはサル対策に有効なため、サブのふんやブラッシング後の毛を必要な住民に配り、獣害予防に役立てている。
しかし、1頭のモンキードッグがサルの被害を防ぐ範囲には限界がある。中村さんは「サルが出没しなくなっても、別の地域に活動拠点を移しただけでは意味がない。パトロールの範囲やサルの群れを追いやる場所について、集落の目標を明確にし、地域全体が連携する必要がある。獣害のない住みやすい集落に近づけるよう、パトロールを続けていきたい」と決意を話す。
(田邉貴)

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