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にいがた版 2019年4月1週号

新潟市の浄化センターで植物栽培
下水熱など有効活用

西川浄化センター 新潟市

下水道処理場内で発生する下水熱や二酸化炭素、バイオガスなどの資源・エネルギー。それらを活用した植物ハウスでの栽培の実証試験が、新潟市西区の西川浄化センターで行われている。

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下水熱を利用して通年栽培しているバジル

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新潟県 西川浄化センター実証試験

融雪や暖房などに用いられ、クリーンエネルギーとして注目されている下水熱。下水の水温は、年間を通して安定しており、夏は気温に比べて冷たく、冬は暖かい特性がある。植物ハウスに供給する温熱・冷熱は、河川に放流する直前のきれいな水から熱交換器とヒートポンプを使用して回収している。
同試験は2015年から現在に至るまで国土交通省の支援を受けて実施されており、16年に冷室・温室の栽培環境制御ハウスを各1棟建築。冷室では希少種の梅花藻やワサビ、イチゴ、温室ではバナナやハイビスカスなどの熱帯植物を試験栽培してきた。
また、汚泥処理で発生するガスは、バイオガス発電機を使用し、電力として利用する他、CO2分離装置により、二酸化炭素を取り出し、ハウス内での植物栽培に利用している。
18年度の研究では、本格的に事業として成り立つよう、事業性の高い植物に絞り、冷室でワサビ、温室でバジルを栽培している。
「ワサビは40度を超えるハウスの中でも、冷熱を利用した栽培水を根元にかけ流し、12度から14度に保つことで生育が十分期待できます。バジルは、昼夜20度以上に保つ必要がありますが、冬期間でも下水熱から回収した温熱を利用することで、一年を通した栽培が可能です」と長岡技術科学大学の姫野修司准教授らは話す。
栽培の効率化と省エネ化の試験栽培を行っているため、水は最小限しか使用しない。現在、植物への二酸化炭素の当て方の違いで、生育に違いが出るかどうかも検証しているという。
一般の人でも西川浄化センターの実験設備を見学できる(人数は、5~40人)。都市局下水道課=電話025(280)5436=に問い合わせを。
(青木陵)

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