にいがた版 2017年8月1週号
キャベツ採種
交雑・病害防止を徹底
中村哲彦さん・巧さん親子 佐渡市
山岳耕地を利用したキャベツの採種を親子で行っている佐渡市東強清水の中村哲彦さん(82)と巧さん(57)。東立島地内の山岳地にある畑25㌃で、作業効率やコスト削減を考えた栽培を実践している。
キャベツの株をはさ掛けする中村さん親子
|
山岳地にあるキャベツ畑 |
「佐渡が海に囲まれていることと、過疎化が進む山岳耕地で栽培することが、他の植物との交雑の可能性を最小限にし、効率良く採種ができています」と話す哲彦さんと巧さん。
父親の哲彦さんは、40年以上も前から野菜などの採種を種苗会社と契約栽培している。5年ほど前から息子の巧さんと協力して栽培するようになった。
巧さんは、従来の栽培方法に工夫を加え、鳥除け用のガス式の爆音機を、鳥の悲鳴が鳴る充電式のものに代え、コスト削減を図っている。播種用にマルチを敷く小型機械を導入するなど、作業の効率化にも余念がない。
交雑のリスクを避けるため、集落の人が自家用に栽培した収穫しないキャベツも全て抜いてもらうよう要請し、管理を徹底。防除も年間を通して20回以上行う。圃場に頻繁に通って様子を観察し、病気の早期発見に努めている。
収穫作業時には、集落の人の協力を得て、一本一本はさみで株を刈り取り、すぐにビニールハウスの中で乾燥させる。以前は収穫した株を4、5本まとめてからはさ掛けしていたが、労力削減と作業時間短縮のため、現在は株を長めに刈り取り1本ずつはさ掛けしている。
収穫した雌株約2千本は、1週間はさ掛けで乾燥させた後に脱粒し、ブルーシートの上に並べてさらに3日ほどしっかりと乾燥させる。選別後、JAと種苗会社の厳しい品質チェックを繰り返し、出荷する。
巧さんは「高齢化に伴い、採種を行う人は少なくなってきていますが、山岳耕地の特徴を生かしながら、作業効率が良くなるよう、工夫を重ねて続けていきたいです」と意気込む。
(渡部奎奈)