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にいがた版 2016年8月3週号

育てた野菜で料理教室
生ごみ堆肥で食の循環推進

NPO法人 ユー&ミーの会 新発田市

「生ごみを利用した完熟有機堆肥で栽培した野菜は、甘味が強く、くせもありません。野菜本来のおいしさを多くの人に味わってもらいたいです」と話すのは、NPO法人「ユー&ミーの会」(新発田市)で理事長を務める佐藤恭子さん(66)。「完熟有機堆肥を通じて、食の循環と自然環境の保護に興味を持ってもらいたい」との思いから、地場産野菜を使った料理教室を開催するなど、精力的に活動している。

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講師から調理法を学ぶ受講者

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完熟有機堆肥を使った野菜料理

ユー&ミーの会は、地域循環型社会を目指し、1996年に任意団体として発足。自然環境の保護に重点を置き、生ごみをリサイクルして堆肥を作る活動を行っている。
設立当初の賛同者は数人だけだったが、各家庭への積極的な呼びかけや小中学校での食育活動など、地道な活動が実を結び、賛同者が徐々に増加した。2003年に「ユー&ミーの会」としてNPO法人化し、現在では、新発田市と連携して取り組む事業にまで発展。地域ぐるみで生ごみの軽減を実現した。
同会では、「食の大切さについて、今一度考えるきっかけにしてほしい」と料理教室を開催。今回のメニューは、夏野菜をふんだんに使った「ナスと豚肉の炒め物」や「ゴーヤのサラダ」「アスパラご飯」で、材料の野菜は、同市の農家が完熟有機堆肥で栽培した、取れたての新鮮なものばかりだ。
料理教室の講師である新潟調理師専門学校の吉田育子学院長(75)は「簡単な料理でもいいので、栄養たっぷりの野菜を取り入れてほしいです。子供のいる家庭では特にそう思いますね」と野菜を食べることの重要性を強調。
参加者からは「生ごみをリサイクルした肥料から、こんなにおいしい野菜ができるなんて思ってもみませんでした。改めて野菜のおいしさを実感できましたし、リサイクルに対する意識も変わりました」と好評だった。
同会では、食育の一環として、04年から給食の食べ残しを土に返す「堆肥化指導活動」も行っている。市内の小中学校に通う児童・生徒へ、給食の食べ残しの分別を指導することで、児童・生徒自らが分別を行い、食の循環を学んでいる。食の大切さを説くこの活動で、給食の食べ残しは6割強も減ったという。
「子供たちの食に対する意識が高まったと実感できます」とほほ笑む佐藤さん。
各家庭や市内小中学校から出た生ごみは、市内3カ所の有機資源センターに集められ、市内畜産農家からの畜ふん、もみ殻と混ぜ合わせ、高温で長時間かけて発酵させる。雑草の種子や有害雑菌は死滅するため、安心して使用できるという。
出来上がった堆肥は市やJAなどを通じて販売され、アスパラガスや転作大豆の有機栽培などに使われる。新発田市が取り組んでいる「食の循環によるまちづくり」の一環だ。
佐藤さんは「近年、『食の安全・安心』が多くの人から着目されるようになりました。食の大切さを伝える活動を、これまで以上に広めていきたいですね」と意気込みを見せる。
(鈴木紀裕)

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